相続人が確定したら、 相続人全員で
遺産をどのように分配するか話し合ってきめます。
⇒これを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議を成立させるには、
・相続人全員の参加が必須条件となります
(一部の相続人を排除・無視した場合には、
遺産分割協議は無効となります。 )
↓
遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
誰がどの財産をどれだけ相続するかを決め、それを相続人全員の合意として書面にしたものであり、協議の結果を証明する書面です。
相続した不動産の所有権を移転するときなどの証明書類となり、後日の相続トラブルを防ぐための証拠にもなります。
遺産分割協議書は
・不動産の相続登記(名義変更)
・銀行預貯金の払い戻し
・自動車の名義変更
・相続税の申告
などの相続手続きの際にも必要になります
・遺言書があれば遺言どおりに分ける→指定分割 ・遺言書がなければ、民法で定めたとおりに分ける→法定分割 ↓ ・相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で合意すれば、指定分割や法定分 割にこだわる必要はなく、相続財産をどのように分けてもよい→協議分割
※ただ遺言書があった場合でも、遺産に不動産が含まれている場合が多く分 割が難しいため、実際は遺産分割協議が必要な場合が多いのも現実です。 |
遺産分割は、いつまでにしなくてはいけないという期限は、特に定められていません。 相続開始後、いつでも行うことができます。
しかし、 遺産分割がされてない間は ・被相続人名義の銀行預金をおろせない ・不動産名義を変更できないため、処分したりできない ・財産を誰が管理するのか・管理費用をだれが払うのか…問題になる など、多くの支障が生じます
・兄弟の中でひとりだけ多額の援助を受けていた ・兄弟のなかでひとり、ずっと親の面倒をみてきた といった、遺産分割の際に考慮されるべき様々な事情も 時間と共に、あやふやになっていきます
未分割のまま、その時の相続人が亡くなられ、さらなる相続が発生すると 新たな相続人が増え、複雑に… 関係も疎遠であったり、 それ故、お互いの自己主張が強くなり、話し合いがまとまらなかったり 次世代の紛争を引き起こしかねません
時間が経過するほど、複雑になるので、早めの対応を |
遺産分割には、大きく分けると ・現物分割 ・代償分割(代物分割) ・換価分割 の3つの方法があります。 現物分割…遺産を現物(建物・土地等)で分ける方法です。 例えば、土地と建物はAさんに、株式はBさんに、預貯金はCさんにといったように 個々の遺産に関して誰が取得するかを具体的に決めることになります 。 代償分割…遺産を取得した相続人が、他の相続人に対し、 代償として現金(相続分相当額の金額等)を支払うことにより、 遺産分割を行う方法です。 換価分割…遺産の全部または一部を売却して金銭化をし、その金銭を分割する方法です。 なお、この場合、譲渡益が発生してしまう場合は 譲渡取得税などを考慮する必要があります。 この3つのやり方をうまく使い分け、 相続人同士が話し合って分割内容を決めます。 例えば 遺産が店舗兼自宅になっており、長男がその事業を継ぐ場合⇒代償分割 遺産のほとんどが不動産で、それぞれの財産の価値に差があり、平等に分けることが難しい場合 ⇒換価分割 |
遺産分割のやり直し
やっぱり自分の相続分が少ないから、遺産分割をやり直して欲しい
遺産分割協議成立後に事情が変わったので、やり直したい
こんな時、遺産分割のやり直しはできるのでしょうか?
・相続人全員の合意があればできます
・相続人全員の印鑑証明が揃えば、登記のやり直しもできます
民法上・登記上においては、問題ありません。
しかし…
税務上での問題があります!!
税務上は、遺産分割のやり直しは、相続を修正するのではなく、
譲渡・贈与・交換とみなされます。
よって、贈与税や所得税の課税対象となります。
税率が高いため、場合によっては多額の税金がかかることになります。
相続のやり直しは
民法上・登記上で問題がなくても
税務上では大変難しいことなので、税理士への相談が必要です
・遺産分割の変更は簡単にはできません。
・遺産分割協議は、将来のことまで考慮し
全員が十分納得できるよう慎重に行いましょう。
話し合いがもめそうな時は
当事者同士の話し合いではまとまらない時は、
話し合いが泥沼に陥ってしまう前に
★法律専門家に相談することを提案してみてください
専門家によって、色々な事例をお伝えしたり、もし裁判になったら、このような分割で決着することになるでしょう・・・といった説明を受けることで、お互いが、納得しやすくなると思います。
それでも意見がまとまらない場合は
★家庭裁判所に、遺産分割の調停を申し立てることになります
裁判所に行くなんて、そんな大げさなことはしたくない!と思われるかもしれませんが
そんなに、大それたことではないのでご安心ください。
調停とは
調停委員という第三者が間に入り、お互いの意見を聞いて、解決案を提示していく
というものです。
決められた日時に、相続人が出向き、調停委員に事情を説明します。
それをもとに、調停委員が合意案を提示し、全員が納得できれば、終了となります。
※相続人は、一か月に一度くらいのペースで数回、出向くことになり、
多くは、半年くらいで決着します。
※一般的には、相続人ごとに別々に行われ、
お互いに顔を合わせることのないように配慮されています。
※この調停での合意案は、判決と同じ効力を持ち、
作成された調書は、いろいろな相続手続きに使用できます
・調停でも話し合いがまとまらない
・相手方が拒否して出席しない
というようなときは、 調停は不成立となり
★審判の手続きに移ることになります
審判とは
家庭裁判所の裁判官が、当事者の主張を聞いて、遺産分割の内容を決定させます。